
白 川 紘
しらかわ こう
武ノ道 創始者
およそ20年に渡る武術、会社経営などの経験と研究。
そして社会科学、自然科学、西洋東洋の哲学などの知見から見出した「武術脳」という概念。これが日本人の文化、日本人らしさ、つまり日本の強みの土台となっていたことに気が付き「武術脳」を日本文化に取り戻すため、そして更には「武術脳」を「武術思考」にまで昇華させ未来の日本人たちへ紡ぐために『武ノ道』を設立して活動している。
白川紘の哲学「為さずに成す」
武術脳と武術思考
内気でシャイな日本人が、英語を話せるようになった途端に急にフレンドリーなるといったことがあります。そして再び日本語に戻ると内気に戻る。こういった現象があります。これは日本語を話す日本語脳から、英語を話す英語脳に切り替わることで物事の捉え方まで変わり、別人のようになる現象として説明されています。こうした現象と同じように、武術の独特な発想のベースとなる「武術脳」と言うものがあります。例えば、「押さずに押す」「投げずに投げる」と言うように武術では矛盾する2つの物事を両立させるというものが発想の前提にあります。古来の日本人たちはまさに武術脳を持っていました。その特徴は「術」と言う言葉に会見えます。術とは目に映らない世界の制御法です。目に映らない「術」の世界と、目に映る「技」と言う世界の両方を捉えていたわけです。一方で、現代に生きる私たちは目に映る世界をベースに生きています。つまり世界を構成する要素のうちの片方しか見えていないともいえます。相反する2つのことが矛盾するように映る理由こそが世界を片側からしか捉えていないため。一方で、目に映らない感覚でしか捉えようのない世界を基盤にして、目に映る世界までを捉えてきた古来の日本人たちには「押さずに押す」「投げずに投げる」が矛盾しないのです。これはまさに武術脳にあたると言えます。この武術脳があったために日本の文化が世界で賞賛されるのです。今の日本の強みや価値の根幹は「術の世界を捉えていた」古来の日本人たちのコンテンツが土台にあるからです。しかし現代は「術」という目に映らない世界がみえなくなってきており文化から消えようとしています。これは日本人らしさを失うという意味で危機的なことだと感じます。だからこそ「術」を文化に取り戻す必要があると考えます。ただし古来の日本人たちは、感じているものを認識はできても、認知はしていませんでした。認識とは意識に上がっているが感覚で捉えているため原理までは理解していない状態です。一方、認知とは、感覚的に認識したものを整理整頓して原理まで理解できる状態を指します。武ノ道では、「術」という目に映らない世界の原理までをも認知できる状態を『武術思考』と呼んでいます。そして武術脳を日本人に取り戻すのみならず、それらの原理までをも理解して人生そのものや教育、経営、スポーツ、エンタメなど様々なところで活かしてもらえるように「武術思考」に進化させてお伝えすることを使命としています。