
躾とは
身体が美しいと書く
「美しさ」とは日本の伝統では自然の中に追求されてきた
つまり躾とは身体が自然であるということ
自然とは循環に滞りがないことであり常に変化するもの
ゆえに身体が滞りなく循環することから生まれる所作までを含む
また日本の伝統では心身の一致ということも重んじられている
なぜなら身体と精神である心は繋がっているため
ひいては躾では心、つまり精神までが自然であることが求められる
そしてその自然な心身の状態を武術では安定と表現する
躾とは、心身が安定している様であり
心身を安定に導く修養を「躾る」という
心身を安定させるすべが武術の型に内包されている

姿と勢
姿勢とは見た目の形のことではない
それであれば姿で十分なはず
なぜ勢という字が伴うのか
それは武術における発想から紐解ける
武術には「勢い」という言葉がある
それは、内面の力であり、言語化すると特異な集中状態
この特異な集中状態を伴った姿こそが姿勢
躾という概念に照らせば姿勢が美しいこと
姿が美しい=安定を生み出す身体構造
勢が美しい=安定を生み出す集中状態
両者が統合され一つになったものが本来の姿勢
型と姿勢を循環させて質を上げることを稽古という
型
型とは、言葉を超越した身体言語
先人たちが悠久の時をかけて築き上げてくれた智慧の結晶
身体と精神との安定が、より洗練される動きや意識の流れなど
命をかけて培われた経験則をもとに、心身の理を追求されてきた
死と向き合い、常に実践に則しながら構築されている
そうした叡智ともいえる人間の理が詰まった言語
その型の意味を深く正しく理解しながら繰り返し表現することで
心身の安定が養われ「生きるすべ」である「変化する力」が培われる

稽古照今
稽とは「体感を伴い考える」という意味
つまり稽古とは「古きを心身で考える」こと
先人たちが命をかけて築いてくれた叡智である型と姿勢
これを躾という美しさ=自然で貫く
そうして体得したものを現代に反映させる
先人たちが築いた「生きるすべ」「変化する力」を
時代にあった形に照らす
それが「変化を創る」という使命